12月18日(土)・19日(日)の両日、「まつしげ人形劇フェスティバル2010」を開催しました。年末年始の休館中に、その記録を10回にわたって連載します。
18日(土)の朝、10時から資料館文化財展示室(特設会場)で開会セレモニーです。お客様と劇団関係者が集う中、主催者を代表して庄野宏文・松茂町教育長が開会の挨拶をしました。
続いて、人形浄瑠璃ふれあい座(松茂町)による「寿式三番叟」の上演です。「三番叟」は農業の神で、大地を足踏みすると、そこから新芽が次々と芽吹きます。開会セレモニーにふさわしい、三人遣い人形芝居による祝儀の舞いです。
2体は神様なんだけど、舞い(足踏み)の途中で疲れてサボったりします。すぐさま相方が、「サボるな! 足踏みしろ!」と舞いで表現します。そのユーモラスな仕草が場内の笑いを誘います。
「寿式三番叟」に続いては、同じくふれあい座による「傾城阿波の鳴門」です。お弓とおつるによる「順礼歌の段」をご覧いただきました。
藩主の密命を果たすため、夫・十郎兵衛とともに大阪の長屋に隠れ住む「お弓」は、苦しい日々に堪え忍んでいました。
そんなある日、ふと弱気になったお弓は、針仕事などしながら心の内で、そんな日々からの脱却を観世音菩薩様に願います。すると、どこからか「西国三十三カ所観音めぐり」の順礼歌が聞こえてきました。しかも、とてもかわいらしい女の子の歌声です。
不思議に思ったお弓が玄関先へ出ると、まだあどけない女の子がおりました。・・・。
午前中の人形浄瑠璃芝居は、これでおしまいです。11時からは図書館研修室で「人形劇団ごんべ」、12時からは資料館常設展示室前特設会場で「人形劇団べんべろべえ」の公演がありました。
午後の人形浄瑠璃芝居は、13時から資料館文化財展示室特設会場で、ふれあい座による「壷坂観音霊験記 内の段/山の段」が上演されました。
「壷坂観音霊験記」は、明治時代の人形浄瑠璃の名作で、「夫婦愛」が主たるテーマです。
大和国(奈良県)のとある村に住む盲目の沢市と、貞淑な妻・お里が主人公です。二人の夫婦愛が、壺阪寺の観世音菩薩の奇蹟を呼びます。
ふだん屋外舞台で上演している「壷坂観音霊験記」を、初めて文化財展示室の特設舞台で上演しました。背景幕・大道具も幕間で転換して(緞帳がないので、お客様に丸見えで転換したのは、ご愛敬!)、舞台はなかなか美しい出来映えです。
(つづく)